「燗  酒」

 江戸時代は酒は燗して飲むことが常識であった。風俗画にはチロリで酒を暖めて飲む人がたくさん描かれている。チロリは銅で出来た筒型の小型やかんのようなものだった。燗酒の歴史は古く平安時代から鎌倉時代を通して広がってきて、江戸時代清酒の拡大とともに燗酒が広がってきた。秘伝として酒に焼酎を加えて男酒といわれて保存が良く、一方辛くなり、燗にすることで少し甘くなった。また天秤棒をかつぐ酒売りもいて燗を楽しんでいた。天秤棒の片方には煮込みや田楽、もう片方には炭で暖めた湯で湯煎された徳利が湯気をたてていた。