「江戸の美女」

 元禄年間には丸顔でふくよかな女性が好まれた。この時代の菱川師宣の見返り美人図はふっくらしている。その後半世紀以上たった明和年間には小顔でほっそりとした柳腰の女性が人気になった。明治前の天保年間にはあごのとがったなまめかしい女性が人気になった。ひとつ理由として元禄年間は食糧事情が悪く、ふっくらとした女性が珍しかったとか明和年間には食糧事情がよくなって価値観が逆転したとかも考えられる。江戸を通して変わらぬ美人の条件は色白であった。