「ナキサワメ」

 イザナミがホノカクツチを産んでホトを焼かれて死んだとき、イザナミの枕元で匍匐して泣いたイザナキのナミダから生まれた神である。天の香具山の麓にある畝尾都多本神社の祭神である。神社の近くには池があり、このあたりから泉が泣くごとく湧いていたという意味がある。高市皇子の香具山の宮のあった場所近く、皇子の死後、泣き沢の神社に神酒を据えて復活蘇生があったと記されている。死者のそばで泣くことが復活蘇生と関係していることがわかる。泉と黄泉、湧くと蘇生など泉が泣き沢と名付けられ、復活蘇生と大いに結びつけられている。
 人は泣くことによって死者を心に復活させられるのかもしれない。