「スサノヲの大蛇退治」

 スサノヲはアマテラスと対決するころまでは未熟そのものであった。髭が伸び放題になるまで母イザナミのいる黄泉に行きたいと泣きじゃくったり、アマテラスとのウケイで勝ち誇り高天原で乱暴狼藉の限りを尽くした。しかし大蛇退治のときには成長のあとが著しい。すなわち大蛇は自分で自分を食べたり、自分だけで子孫を作ったりするウロボロスという原両親を象徴している。ウロボロスである大蛇を殺して母親の力が強い時期から、エヂプス期に父親から独立しようとするまでの父親の強い時期を経て、自我が独立していく。まさに大蛇ウロボロスから独立の象徴の草薙の剣すなわち自我を手にするのである。
 青年が母親との母子カプセルのなか家庭内暴力が出現している状況はまさに母すなわち身内つまり自分に暴力を振るうウロボロス段階であろう。