「守護霊」

 ヤマトタケルは東征に成功して尾張に帰って美夜受姫と結婚する。ヤマトタケルはこの結婚に溺れてしまったのか守護霊として持っていた草薙の剣を姫のもとに置いたまま伊吹山の神を討ちに出かける。守護霊なしで伊吹山の神を討ちに出かけたヤマトタケルの運命は死であった。神剣のないヤマトタケルは素手で伊吹山の神を討ち取ろうとするが神の化身である白猪に惑わされ全く歯がたたず下山する。しかし玉倉部の清水で我に還ったヤマトタケルは杖を引いて伊勢の国に入る。最後に能煩野に到着して「倭は国のまほろばたたなずく青垣山隠れる倭し美し」と歌をよむ。ここでタケルは危篤に陥り姫への愛と神剣をおろそかにした悔恨の複雑な心を表現して息絶えるのである。
 人にとって後ろ盾にになってくれていたものが愛によって容易に失われると言う愛の力強さと後ろ盾をなくしたときの脆さをこの神話は表現している。