「一宿一飯」

 黄泉の国にてイザナキがイザナミに現し国に戻るように言ったところ、イザナミは黄泉戸喫(ヨモツヘグイ)をしたので帰ることは難しいと答える。黄泉の国の食べ物を食べると黄泉の国の死者に仲間入りして現し国にかえれないという発想は任侠の世界の一宿一飯の恩義と同じ考え方と言える。同じ話はギリシャ神話にもあり、ペルセポネーが冥界の王ハーデスに誘拐され冥界の柘榴を食べただけで明界に帰れなかった。ある集団で生活すると元の集団には戻りにくいという人間の習性を表しているともいえる。