「ゆつかつら」

 ゆは神聖という意味であり、この神聖なかつらはアメノワカヒコの住まいの門前にあり、天界の使者の雉が停まる場所であったり、海神の宮殿の門前にあって山幸彦が登って海神の娘と会う場所である。この話の構造は下界のものが、天界などのより高い世界の神と会うための装置のようなものである。神は通常直接この世界に表れるのでなく樹木や石などに憑りついて出現する。桜(さくら)も神のよりつく神聖な場所という意味がある。患者さんが発信器が近くにあって電波をかけられていると言ったり、受信機が埋め込まれていて電波を送られると言う言葉の意味を考えると、患者さんの電波体験と類似した古代人の体験が天上界の神の憑りつく樹木や花という形で語られているのかもしれない。