「かに」

 応神天皇が自分をかにに例えた詩を歌い、ヤカハエヒメと結婚し息子を誕生させた。かにに自分を例えて子孫の反映を願った詩と思われる。当時、かには脱皮して永遠の生命をもっていると考えられていた。古語拾遺にはトヨタマヒメが出産するとき、かにもり(掃守)の天の祖アメノオシヒトが箒を作ってかにを掃いた話がある。このことは出産と掃除とかにが結びついていることを示している。すなわち再生と脱皮と永遠などの象徴として相互に関連しているのである。またかには真っ直ぐに歩かず横歩きするので永遠の生命と通常の生き方には大きな違いがあることも示唆している。