「ヒルメ・ヒルコ」

 日神アマテラスと月神ツキヨミとスサノヲの3神の取りあわせには矛盾がある。性格のはっきりしたスサノヲという人格神に対して、日神・月神は自然神である。さらにヒルメはアマテラスと同一視されているが、ヒルコはすてられる不具者である。当時女性はシャーマンになり祭事権を持っており、男性はその支持に従う一面があった。従って女性神ヒルメ、男性神ヒルコを日神と月神にあてはめるとき、ヒルメはあてはまうが、ヒルコは月にあてはまらず捨てざるを得なかった。そこで神話で捨てられる話が生まれたと思われる。このように女性神が日本民族の祖先紳のわけはシャーマニズムという信仰形態が日本にあったことと深く関係しており、現在もシャーマニズムは恐れ山のイタコや沖縄のユタという形態で日本に残っている。日本人の男性はどこか女性を恐れるのはこのこととも関係しているだろう。