「気と毛と木」

 書記に韓国に渡ったスサノヲがひげを抜いたら杉に、胸毛が檜に、尻の毛がマキに、眉毛が樟になったと書かれてある。これは毛が木になったという話である。すなわち木は大地に生えた毛という印象をもっていたということだ。
 毛国(シモツケ、カミツケ)は木と関係していると思われ、鬼怒川(ケヌガワ)、三池(ミケ)なども同様だろう。
 さらに毛は気とも関連しており、毛は体から外に出現したものであり、気もこころの外に出現してきたものという意味があり、まさに木も大地から出現している。毛、気、木は生のエネルギーを意味として内包していることも相互に似かよっている。人間は精神現象を自然現象に例えたり、自然現象自身類似点を読みとったりして理解を深めてきている。
 毛と日常性をあらわすケが関係しているならば木が枯れることとケガレルことは関係してくる。さらに意味的には気がなくなる、気力がなくなるとも近い。