「三 神」

 日本神話には奉祭氏族のない住吉・住之江3神ソコツツノヲ、ナカツツノヲ、ウワツツノオ、宗像3神タキリビメ、イチキシマヒメ、タキツヒメ、阿曇の連の奉祭するワタツミ3神などが出てくる。志賀島の阿曇氏は沿岸漁業、住吉系や宗像氏は沖合漁業をしていたらしい。沿岸漁業の阿曇氏は岸沿いに移動して信州まで入っている。
 漁業系の3神以外には3貴神アマテラス、ツキヨミ、スサノヲやニニギとコノハナサクヤの子ホデリ、ホスセリ、ホヲリなどがいるが、ツキヨミやホスセリは実体があまり伴わない中空構造とかんがえられている。一方漁業系の神が揃って3神なのはもともと海人族には上中下3分し並列する神話が多いらしい。
 2は私とあなた、夫婦など相対的違いなどを意味しているが、3は私とあなた以外に彼、彼女、それが出現したり、夫婦に子供が出来たり、普遍性、世界的絶対的広がりを表す傾向がある。
漁業系のひとはそういう広がりを感じやすかったのかもしれない。
 精神医学において母子密着・母子カプセルなどと問題視されるが、父親が役割を果たしたり母親の第3者とのつきあいが母子に広がりや普遍性をもたらすのは言うまでもない。