「人格障害」

 人格は性格と知能によってきまる対人関係のあり方であり、そのひととなりといえる。性格や知能は遺伝的体質・気質とその後の環境すなわち育ちによっても違ってくる。特に性格は幼児期の人間関係(コンプレックス)すなわち母親・父親・同胞などとの関係によって形成される。
 人格障害は3つのタイプすなわち奇妙で風変わりなタイプ、人を困らせるタイプ、自分が困るタイプなどに分けられる。
 奇妙で風変わりなタイプには妄想性、分裂病質、分裂病型人格障害がある。人を困らせるタイプには反社会性、境界性、演技性、自己愛性人格障害がある。自分が困るタイプには回避性、依存性、強迫性人格障害がある。精神障害のすべてにいえるが一人の個性豊かな人間が上記の典型的な人格障害の1つだけに合致するのではなく、二つ以上の人格障害の特徴を併せ持つのは当然といえる。典型的な一つの人格障害の場合もあるが、二つの人格障害を併せ持っていたり、1つの人格障害が優位だが他にもいくつかの人格障害の特徴を持っているということが十分ありうる。
 基本的には人格は疾患ではなく、障害といえる。従って人格は治すのではなく、どのように付き合っていくのかという問題である。しかしながら人格障害には神経症や精神病を併発しやすくそれらの症状の軽減をはかることにより、また人間関係の調整により人格障害を改善していくことは可能である。