多次元診断とスペクトラム

 最近、病気を診断するのに多次元診断やスペクトラムが使われる。精神科では患者さんを単に病気だけでなく人間が生きて行くなかで困難をともなう事態は性格、適応性、ストレスなど多角的にみなければわからないため、患者さんの現在の困難さを一層よく把握するため性格、適応性、ストレスなどを付け加える傾向がある。とくに病前性格は今の病気を引き起こした一面があるので重要である。
 次にスペクトラムという言葉は物理の光スペクトラムから連想されるように、単純にはくくれないが関連している病気に対し、その連続性も含めて診断するときに使われる。
 このように精神科の病気は簡単には述べられないため、種々の情報を付け加えるようになっている。逆にいうと人間の精神は複雑なのでそのあいまいさを考慮することによって余計つかみにくくなるという問題もある。