幻覚と妄想

 一般的には幻覚は周りが感覚出来ない患者本人だけの感覚であるが、本人には間違いのない現実と誤って捉えられる。一方妄想とは周りが肯定出来ない患者本人の信念・確信であり、周りがいくら説得しても本人が訂正しない誤った信念・確信である。ところで現実や事実を多くの人は無意識に自分の感覚や信念・確信そのものと捉えている。実は現実や事実は人が成長するなかで周り(母、父、親戚、友人、先生、同僚、上司など)とのコミュニケーションのなかで確立してきたものである。さらに大脳の局所機能と関連するのが感覚・現実・幻覚であり、大脳の統合的機能と関連するのが信念・確信・事実・妄想である。
 従って周りとのコミュニケーションがなく、周りが理解も感覚も確信もできない患者本人の感覚や確信・信念は幻覚・妄想である。コミュニケーションのない世界はまさに幻であり、幻を作る。