「自分のために生きる、自分を生かす」

 人は自分のために生きているのであり、自分を生かさなければならない。しかし患者さんのなかには親のために生きたり、夫のため、子供のために生きていたり、世の中のためと思って自分を失くしてしまっている人もいる。では自分のために生きるのが利己主義なのかというと利己主義なら決して自分のためにならないことを知っておく必要がある。自分のために生きるということは常に家族や周りの気持ちを知りコミュニケーションをとる必要があるのである。もし利己的になれば人が自分の周りからいなくなり、孤独になり生き生きと生きて行けなくなるからである。自分のしたいことをするためには、人に働きかけ人に助けて貰い人に分かって貰う必要があるのである。しかし生き方の順序が間違って人や社会や家族のために生きて、自分の人生が自分のためでなくなったら元気がなくなってしまう。もし周りのために生きていて元気が続いているようなら、それは理想的でありその行動が自分のものとなっていて自分のしたいことなのであろうが凡人には難しい。逆に夫のためとか子供のためとかいって自己犠牲しているようでいながら、実は自分が望んでいる家庭や人間関係のためであったり、子供の将来のためといって結局は自分の子供への願望であったりすることは知っておく必要がある。相手への思いやりと思って、相手に自分の思いをお仕着せしていることを気付かずにいることは相手から反発を生じやすい。このことから相手によかれと思ってとる自分の行動や態度は自分が世間や家庭や子供に望んでいる自分の要求であると押さえておく必要がある。