「自己愛と自己否定」

 自己愛にも色々あるが他人との関係を持たないなか自己の世界に陶酔しているのがナルシスであり、他人との関係を持てないで自己にしか関心が持てないのは1次自己愛すなわち自閉であろう。他人との関係のなかで自己の良い所、悪い所を認められるのはより大きな意味で絶対的信頼感が形成されているからであろう。自己が批判された時に傷付き易いのは背景の安心感が欠如しているためと思われる。他人の批判や責めを感じすぎて、自己否定、自罰、自責を持ちすぎないことは重要である。自分を愛するとは自分を大事にすることであり、自分を愛せて始めて人も愛せるし、親や人からの愛を受けて始めて自分を愛せるのである。自愛というものであろう。人への関心や愛情がなければ自分を愛せないし、信頼感や安心感も生じない。以上のように自己否定とナルシス、自閉は相互に関係しており、本当の自愛の対極的あり方である。利己主義はナルシス的であり、利他主義も行きすぎると自己否定に通じ、自己をなくしてしまう。やはり他人への愛・慈悲が自分を尊ぶ、自分を愛する、自分を大事にすることになろう。