認知のわな9 言葉

 言葉は人間として生きていくうえに基本的な能力であるが、実はここには大きな罠がある。すなわち『お母さん』という言葉を聞けば一人一人全く違う自分の母親像を中心に自分の経験してきた母親像が心に浮かぶ。母親という言葉には女親であり育ててくれたという共通点はあるようだが一人一人全く違う母親である。お母さんという言葉でお互い意味は通じないところも多い。このようにすべての言葉は自分の過去の体験に縛られており、一人一人意味が違う。しかし不思議なことに人の話はある程度分かるのである。ここで大事なことは話し合わないとさっぱり分からないが、話した方が少しは分かる。誤解・錯覚だらけでも話さないよりは分かるのである。そして誤解は当たり前故に簡単に人の話を分かってはいけないということである。早わかりの人は自分の思い込みが強い可能性も大きい。特に他人に関しては早く分かってはいけないと思われる(独断と偏見)。