認知のわな4

 精神科は確かに精神の問題に対応する診療科である。精神科の薬物も精神の症状に効く。しかしよく考えるとここにおおきなわながある。すなわち薬物という物質は物に働きかけるのであり、決して物は精神に働きかけることは出来ないのである。すなわち精神・心は体という物に出現し、体に薬物が働いて体と関連する精神・心にに間接的に効くのである。例えば不安は中枢神経・自律神経を通して動悸、呼吸困難、胸苦しさ、末梢神経により地に足のつかないような感覚が起こる。安定剤はこの中枢神経・自律神経や末梢神経に働きかけて身体症状である動悸・息苦しさ・胸苦しさ・地に足のつかない感覚をやわらげ、その結果不安をなくすのである。このように精神科の薬物も体に効いているのであり。決して精神・心に直接効くのではない。
 一方薬物は人によってどうとらえるかは心理的出来事である。薬物が怖いとおもっていると、薬物をのむという行為が恐怖をひきおこし、震えや動悸など副作用も起こりやすくなる。薬物というものは一方で心理的作用もあるのである。