精神と身体・自我の出現

 精神は身体に宿る。人間の精神は母や父など他者との交わりを通して身体の種々の体験から作り出される。母親が赤ん坊を抱っこする、目と目をあわせる、微笑むなどなど。母親は赤ん坊にむかって語りかける。お乳をあげ、おむつを替え、お風呂にいれ、服をきせる。このとき個性ある一人一人の母親(母親の中心、母親自身・母親の自我)が赤ん坊の真ん中に向かって働きかける。この働きかけ方が赤ん坊自身・赤ん坊の自我を形作っていく。
 赤ん坊の活動、動きが対象への働きかけのない状態から、母親などの他者が赤ん坊に反応し、赤ん坊の動きに反応し赤ん坊に手ごたえを感じさせる。母親の反応のしかたによって赤ん坊の中に中心・自我がしっかり出来たり、手ごたえがなかったり、中心・自我が希薄になったり、自我が変化しやすかったりする。