常識

 常識とは世の中の多くの人が共有しうる生き方、考え方、感じ方、行動の仕方である。しかしここに罠が潜んでいる。実は世の中の多くの人とは健康で元気な人を指すようである。従って心身の病気の人に元気な人と同じことを求めると、時には病気が一層悪くなる。例えば病気を治そうとするのは、精神疾患では病気を悪くする場合が多い。何故なら自分が病気になりたくてなっている人はまずいない。今までの過去の、最近のつらい出来事や無理な出来ごと、元気で気付かずにしてきたことが病気を引き起こしたりする。従って現在のつらい状態は過去の結果である。過去は変えられない。変えられるのはこれからである。真に病気を治すためにも、元気がない時に元気を出すということは過去を変えようとする不可能な一面がある。現在の状態に合わすことが無理なく元気にもなる可能性が高い。元気を出す、頑張るということはいいことだという常識も実は間違っているところがある。すなわち元気な時と元気がないときと同じことをしていいのかというとやはり元気がない時には元気な時と同じように元気を出してはいけないだろう。元気のない自分をよく知ってどんな過ごし方が無理がないのか考える必要がある。調子の悪い時にも人に助けてもらっては迷惑だという人もいる。しかし助けて貰うということは、人を優位にたたせて人を近寄りやすくさせるといういい面もあるのである。