病 識

 人は自分の経験した以外の出来事は想像・空想・論理・抽象などを通して理解する。観察や言葉を使って他人の経験を理解し直感する。しかしこの能力もその人の生まれつきの能力や体験に強く縛られている。人は自分の見たいものしか見えないし、見えざるしかない形でしかみていない。聞きたいことしか聞こえないし、聞かざるを得ない形でしか聞けない。相手の世界にどれだけ近づき理解できているかは誰も分からない。では人は人と何をしているのかというとそれはコミュニケーションをとっているのであり、出来るだけわかろうとしているだけである。したがって人をわかろうとし続けているか、ある時期すべて分かってそれ以上は分かろうとしなくなっているかそれ以上分からなくなってしまっているかなどである。それ以上新しく人をわかろうとしなくなり、さも分かったかのようになってしまうと人は精神疾患になりやすく、自分の世界は自分を守るためにある程度固まっているため、自分ではなく周りに問題を感じてしまう。それゆえ人は病識を持てなくなる。