普 通

 多くの人は自分を普通と思っている。そんなに人からずれてはいないと思っている。しかし普通の基準は自分にあり、どんなにずれても自分ではわかりにくい。かえって相手がずれている、間違っていると思いやすい。自分と配偶者との間の距離は自分から見ても、配偶者から見ても同じ距離である。どちらが人からずれているかは簡単にはわからないが、一つのバロメーターとして人間関係の無理のない多さがより人との距離を縮め、人間関係のありようにより、自分と配偶者のどちらが人から離れているかが推量できる。
 無限の人間関係の在り方において、真ん中にいる人はほとんどなくみなずれているとはいえる。したがって自分は普通であるというよりは自分の偏りはこれだろうと思っている方が相手を責めないでいられるし、より自分を深くできるだろう。