人はプライドを持っている。しかしそのプライドが崩れたり、傷をつけられたりする。当然できることが出来なかったり、当然知っていることが知らなかったりすると落ち込んだり不愉快になる。しかし自分が出来るということはそもそも錯覚であり、出来ることがいつも出来るとは限らないし、知っていて当然と思っていても知らないことがある。いつもスムーズに出来るという勘違いが人を苦しめる。やはりそうなりたい、そうしたい希望がそうなっている、そう出来るという錯覚に陥いらせるのである。失敗しても当然であるのに、出来る人がいると自分以外のみんなが出来ると錯覚して自分を貶める。人より落ちることも当たり前であり、知らないこと、出来ないことも当然であり、すなわちいつも自分の方が優れていると思うのも間違いである。
 知らなくても、出来なくても恥ではないのである。いままで失敗と思っていたこと、恥と思っていたことをあまりそう感じなくなることが悟りに近づくということだろう。