「悲しみとうつの違い」

 悲しみは最愛の人を亡くしたり、自分の財産や健康を失ったとき、身体が不自由になったときに起こる。自分にとって大事な対象が失われた時に起こる。自分がはっきりと掴んでいたものが引きちぎられ引き離され、そのあとに心の傷や痛みが生じそれが悲しみになるといえる。悲しみを処理する過程はモーニングワークと言われていて最初は運命に対して怒り、悲しみが起こり、次ぎに運命と取引しようとしたり、ついには諦めざるをえなくなる。そして最後に再出発するが再出発の時間までは悲しみの種類によったり、大きさによる。
 一方うつははっきりとした対象が失われて起こるのではない。うつは自分が造り上げてきた秩序や環境など目に見えないものが失われたときに起こるのである。周りに相当エネルギーを割いてきて自分なりの世界がこしらえられていて、人間関係や立場などに大きな変化があると、大きなエネルギーを割いて造り上げてきた秩序や環境を失うことになり、さらに新しく秩序を造り上げる大変さが襲ってきてうつがおこるのである。このように悲しみとうつは大きく違っていて、夫を亡くした妻の夫への関わりによって悲しみだけで終わったり、悲しみだけでなくうつも起こったりする。