「身体の症状は身体の病気だけで起こるのではない」

 多くの患者さんは身体に症状があるとすぐに身体の病気に結びつける。例えば頭が痛いと大脳に何か病気が起こっているのではないかと心配する。動悸や胸痛があるとすぐに心臓が悪くなったと思う。むかつきや嘔吐があると食道・胃の病気を考える。頻尿がおこれば膀胱の病気だと思う。
 ところが身体の症状は身体の病気だけでなくストレスによっても起こる。日常生活における家族関係、人間関係や経済状況におけるストレス、葛藤、不満などの心理的不快感は当然身体の中に入っているわけだからそれらが発散、解消されずにたまれば当然身体に症状が出てくる。日本語のなかに身体症状を起こしやすいストレスは直接身体言葉を使って言い表されている。頭の痛いことがあるとか、むかつく奴とか、息苦しい感じ、腸が煮えくり返るなどなど身体症状がストレスで起こることが言葉のなかにも表現されている。
 それどころか身体のほとんどの症状が身体の病気だけでなく心理症状としても起こるのである。たまたま多くの人はストレスがあっても強い症状や持続する症状ではないので気にしないですんでいる。