「妄想と否定する事は出来ない」

 妄想の定義は訂正することの出来ない誤った確信である。従って妄想を否定し訂正しようとすることは無意味であり、患者さんとの距離を一層大きくすることになる。ところである人の感覚、体験は別人には決して体験できない。ただ相手の言葉を聞き、相手の態度・行動から想像・洞察するだけである。従って人は一人一人全く違った経験・体験をしており基本的には人は相手の体験を否定できるわけがない。しかしここで重要なのは妄想と言われるのは相手には理解・納得できないからであり、妄想のような内容は相手にはあり得ないことである。すなわち人とのコミュニケーションが取れないということであり一緒に生活・仕事・遊びなどをしていくのに大きな困難を伴うということである。
 このように妄想を持っているかどうかより一緒に過ごしていけるかどうかが重要なのである。