「人間関係が大変なんですが」

 人間関係は相互に種々の情報をやりとりをしているが、大きくふたつに分けて言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションがある。言葉によるコミュニケーション方法を通じて他の方法も類推出来る。さて人が話す言葉はまず音であることを自覚しておかなければならない。その音に個人個人全く違った意味が付属していると同時にお互い共通の概念も付属している。例えばお母さんと言ったときそれぞれの個人はまず始めに自分の母親をあたまに浮かべるだろう。言葉はこのように一人一人違った意味を持っており、さらにその意味には感情や個人個人の思い出、体験が結びついておる。自分でも気付いていない無意識的なものまで言葉は含んでいる。自分には当然の意味を持つ言葉が相手には全く誤解されて伝わる部分があることを知っておかなければならない。言葉には共通の概念もあるから会話が成立しているのだが相手の気持ちが簡単にわかったらそれこそ大変である。すなわち相当誤解があるにも拘わらず簡単に分かるのは思いこみと言えるだろう。精神科医は人をすぐ見抜けると誤解している人があればここでそれを訂正しておきたい。精神科医は人の話を聞いても聞いても簡単には分からないのである。しかし聞くことによって少しずつだが聞く前より確かに分かるのである。さらに人は自分の話を聞いて貰うことによってすっきりし、聞いてくれた人を分かってくれようとしている人と感じるのである。ここで一機に際限なく話しをするのはよくなくて徐々話をしていく必要がある。
 では聞くだけでいいのかというとやはり話も大事でどう伝えれば自分の気持ちが分かって貰えるのか?これは話を聞くなかで相手が受け入れてくれる言葉かどうか分かったのちに、話をすればいいのである。受け入れてくれる言葉かどうかわからずに一方的に自分の正しいと思うことを話すのは押しつけであり、説教であるだろう。