「重症でしょうか?     
      経過はどうでしょうか?」

 心療内科・神経科・精神科の病気は一般的には不安障害などの神経症、躁うつ病などの感情障害、統合失調症の順に予後が悪いと言われているが、実際はかなり違っている。神経症でも強迫性障害や性格・抑うつ神経症などは治りにくい。感情障害でも躁病はかなり難しい側面がある。統合失調症でも当然同じ病名がついていても予後はまったく違う。統合失調症は人間関係が得意でない人におこりやすいが、人を信用していない人と人を求めている人とでは当然予後が違ってくる。人を信用しないということは医者を信用しないこと、薬を信用しないことにつなっがて、当然自分だけのやり方でうまくいかずに病気になってっきたにも拘らず、自分だけで治そうとして悪循環に陥りやすい。
 このように人を信用できることが、予後と関係している。すなわち人を信用する、信用できるということは安心感を生み出し、病気に対する治癒力そのもである。
 人格障害は病気というより性格の障害なので、性格という言葉自身に変りにくいという意味が入っている。人格の場合だけではないが、医療は治すためにあるだけではなく、状態・症状の悪化を防ぐという意味もあり、このように多くの人には気づいてもらえない、悪化を防ぐという重要な意味も医療にはある。病気は治すだけではなく、病気と付き合うことも大事である。