ミュージカル レミゼラブル

 19世紀初頭ツーロンにて、妹の子供のためにパンを盗んだ罪で服役し、途中脱獄したため19年間も服役することになったジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は奴隷として扱われたが、強靭な体力で生きながらえ、監督官ジャベール(ラッセル・クロウ)から仮釈放を告げられる。釈放後も定期的に役所に報告しなければならず、釈放状では差別が続き、生きていくことが非常に難しく死にそうになっているところを司教(コルム・ウィルキンソン)に助けれたが、その教会の銀の燭台を盗んでしまう。しかし警察に捕まった後も司教はそれは盗んだものでなくあげたものだと言われジャン・バルジャンは助かる。それを契機に自由に生きようとしたジャン・バルジャンは釈放状を破り捨てる。
 8年後モントルイユ・シュール・メールにてジャン・バルジャンはマドレーヌと名前を変え、工場経営者として成功し市長にまでなっていたが、ある日町にやってきた警察官ジャベールによりジャン・バルジャンではないかと疑われる。バルジャンは娼婦フォンテーヌ(アン・ハサウェイ)が客ともめて警察につきだれそうになっていたのを救う。フォンテーヌはもとジャン・バルジャンの工場で働いていたが、同僚の無理解でやめさせられ娼婦になっていた。ジャン・バルジャンは瀕死のフォンンテーヌを入院させ彼女の死にぎわに娘コゼットを救うことを約束する。
 そのころジャン・バルジャンの身代わりに間違えられて逮捕された別人のため市長や経営者の身分を投げ捨てジャン・バルジャンが名乗り出て、ジャベールに追われるようになる。ジャン・バルジャンは無慈悲な里親テナルディエ(サシャ・バロン・コナエ)とその妻(ヘレナ・ボナム=カーター)に大金を払ってコゼットを引き取る。ジャン・バルジャンはコゼットを育てることに生きがいを見出した。
 9年後ブルボン王朝が倒れたあと、立憲君主制下のフランスでは貧富の差が激しく、労働者や学生は革命の機会を窺っていた。裕福な家を飛び出したマリウス(エディ・レッドメイン)はアンジョラス(アーロン・トベイト)率いる「ABCの友」の一員として革命運動に奔走していた。ある日美しく成長したコゼット(アマンダ・セイフライド)と出会いひと目惚れしお互い好き同士になる。以前に里子だった家の娘エポニーヌはマリウスを愛していたが片思いのままであった。バルジャンから金を奪おうとしていた元里親のテナルディエはバルジャンの家をつきとめた。ジャベールにも知られたと思ったバルジャンはコゼットとともにパリを出ようとする。一方コゼットに去られたマリウスは絶望し革命運動に身を投じる。
 アンジョラスの指揮下革命運動は始まり闘いの最中にマリウスの腕の中でエポーニーヌは死んでいく。マリウスも銃弾に倒れ意識が遠のいていく。
 コゼット宛のマリウスの手紙を読んだバルジャンはバリケードの中に入ってコゼットのためマリウスを救おうとする。バリケードの中ではジャベールが捕らわれていたが、バルジャンはジャベールを救う。ジャベールは何故俺を救うのかとバルジャンに聞くとバルジャンは恨みはない・あなたは任務を遂行しているだけだからと答える。瀕死のマリウスをみつけたジャベールは下水道からマリウスを背負って逃げようとした。途中ジャベールに見つかったバルジャンたちは撃たれるかもしれない中逃げようとしたがジャベールは撃てなかった。バルジャンの生き方とどちらが正しいのか価値観が崩れたジャベールは悩み自殺してしまう。
 革命が失敗に終わり、生き返ったマリウスはコゼットと結婚することになる。バルジャンは二人に自分のことを告白し、行き先を告げず教会で一人で生活し死んでいこうとするが、自分を救ってくれたことを知ったマリウスと大事に育ててくれたと感謝しているコゼットがバルジャンのもとを訪れ、二人が見守る中、バルジャンは報われることのなかった人生を閉じるのである。
 報われずに死んでいくが人に尽くしひとの心にずっしりと重いものを残すバルジャンの生き方は何かを訴えてくる。