ファミリーツリー

 オアフ島に暮らすマット・キング(ジョージ・クルーニー)は突然妻エリザベス(パトリシア・ヘイスティ)がパワーボートのレースで事故にあって脳死状態になるという目に遭う。10歳になる次女のスコッティ(アマラ・ミラー)が精神的に不安定になり、母親の脳死状態の写真をばらまいたり、友達の生理のことをメールでばらまいたりして、まわりからマットの監督不行き届きを責められ、マットはどうしていいのか途方に暮れていた。さらに弁護士業で身を立てていて、カメハメハ大王の血を引く彼にはハワイに広大な信託統治の土地が残されていてその信託期間中に買ってくれる企業に売らなければ自分の権利がなくなるという問題をかかえていた。親族会議の動向は当然売却だが、ハワイの人々は開発せずに自然のまま残してほしいというものだった。マットはそんな金をあてにせずまじめに働いたお金で生活してきたが、妻のエリザベスはボートの一つも買わないで仕事に打ち込むマットの生き方に不満を持っていた。

 ある日マットは医者から、奥さんは生前尊厳死を望んでいたので、今の人工呼吸器で生きる状態を望んでいないため呼吸器を外させてやってほしいと頼まれる。
 マットもやむを得ないと思って全寮制の高校生の長女アレックス(本名アレクサンドラ)(シャイリーン・ウッドリー)をハワイ島まで迎えにいくが、長女も汚い言葉を平気でつかい、生活も乱れがちであった。しかし彼女のボーイフレンド・シド(ニック・クラウス)と一緒に母親を見舞いに来る。そこで母親の人工呼吸器を外すと父から言われたアレックスは母親が実は浮気をしていて事故直前に喧嘩をしていたことをつげる。マットはそれを聞いて激怒しエリザベスと自分の共通の友人宅に行って浮気相手が不動産業のブライアン・スピアー(マシュー・リラード)とわかる。アレックスと相談のうえ、スピアーに怒りをぶちまけるとともに、妻が自分と離婚してスピアーと結婚したいと思っていたらしく、結局はスピアーに妻の最後の顔を見させようと考えるが、実はスピアーには妻がおりマットの妻とは単なる遊びであったことがわかる。

 親族・知人に妻とのお別れをしてもらって人工呼吸器をはずして、最後にみとろうとしているときにスピアーの妻がやってきて、エリザベスに向かって興奮し、夫からエリザベスと浮気したことを聞いた、本当は許せないがあなたは死んでいくので許すとかの言葉を興奮して語った。結局スピアー夫婦にも傷が残った形になった。やがてマット、アレックス、スコッティ家族3人でお互い残された家族のつながりが確かめられる形でハワイの海に妻の遺骨を流す。

 家族のことを深く考えさせられたマットはハワイ島の信託統治の土地を売らずに自然を残すという決断に達すのであった。