戦火の馬

 第1次世界大戦前後のイギリス。ある小さな村で4本の足先が白く、額に菱形の白い斑がある鹿毛の仔馬が生まれる。誕生の瞬間を目撃した少年アルバート・ナラコット(ジェレミー・アーヴィン)はその仔馬に魅される。その仔馬は母馬と切り離され、セリにかけられ二人の男地主のライオンズ(デヴィッド・シューリス)とアルバートの父テッド・ナラコット(ピーター・ミュラン)によって競り争われるが酔った勢いでアルバートの父テッドが競り落とす。アルバートの母であり、テッドの妻であるローズ(エミリー・ワトソン)は夫の無謀さに怒り狂いこれから借金を抱えてどうするのかと夫テッドに詰めよる。アルバートは本人が働いて借金を返すということで母に仔馬を飼うことを許してもらう。その仔馬をジョーイと名付けてアルバートは必死に訓練し、ホーという口笛に反応してアルバートのところに走ってくるようになった。一方馬を競り落とせなかった地主のライオンズは借金を返すようテッドに迫るが、結局アルバートがほとんど耕せない土地を耕せば借金返財できるという主張を不可能だと判断し、しばらく待ってあげる。しかし驚いたことにやや成長したその仔馬ジョーイとアルバートは必死になり荒地を耕してしまう。テッド達は必死に穀物を育て収穫目前のところを嵐に襲われその穀物は全滅する。さらに戦争が始まる。借金のかたにジョーイを軍隊に売った父テッド。ジョーイを買ったニコルズ大尉(トム・ヒドルストン)は馬を大切にする、連絡するといって出征する。
 騎兵隊ではジョーイと隊長ののった馬トップソーンはお互いライバルでジョーイはトップソーンとの競争に競り勝つ。ドイツとの戦いにイギリス騎兵隊は敗れ、ニコルズもアルバートへの約束ジョーイを大切にし連絡することが出来なくなった。ジョーイとトップソーンはドイツの馬になり若い兄弟のドイツ兵士に世話される。しかしその若いドイツ兵士が馬とともに脱走しフランスのある村にて射殺される。残されたジョーイとトップソーンは少女エミリー(セリーヌ・バッケンズ)とその祖父に世話されるが、やがて再びドイツ軍に見つかりジョーイとトップソーンは大砲を運ぶ役を担わされ、途中トップソーンは死んでしまう。ジョーイも戦場の中走り回り、ドイツとイギリスの中間地点で鉄条網にからんで瀕死の状態になる。しかしそれを見かねたイギリス兵・ドイツ兵ともに戦いを中断して、その馬ジョーイを命を懸けて助ける。
 一方アルバートも成長し父と同様勇敢なイギリス兵となり、あるとき目を負傷し野戦病院に入院する。そこに偶然足を負傷し連れてこられたジョーイが来て手の施しようがないため殺されるところであった。しかし気配を感じたアルバートが笛を吹くとそれに気づいたジョーイがアルバートのところに駆け寄る。こうしてアルバートとジョーイは奇跡的に出会ったのである。
 人間として悲惨な戦争を通して人間の暖かさを描き戦争を否定している映画である。