麒麟の翼

 東京日本橋で一人の男性(中井貴一)が殺された。その男性は腹部をさされたまま8分もこの場所まで歩いたのである。一方容疑者八島冬樹(三浦貴大)は現場から逃げようとして車にひかれて意識不明になる。八島の恋人の中原香織(新垣結衣)は八島は決してそんなことをする人ではないと言いはった。この捜査を命じられたのは日本橋署の加賀恭一郎(阿部寛)と警視庁捜査一課の刑事松宮脩平(溝端淳平)だった。被害者青柳武明(中井貴一)は建築部品メーカー・カネセキ金属の製造本部長であり、デジタルカメラやインターネットカフェの会員証等があったが遺族の知らないものであった。そして縁もゆかりもない人形町でなにをしていたのか?半年前八島は会社で事故にあい、カネセキ金属から派遣会社に圧力がかかり派遣労働者の八島が契約を打ち切られ、青柳は労災隠しを指示したと言われた。それを逆恨みした八島が青柳を殺したという線が濃くなった。容疑者が狡猾な企業の犠牲者と報道されるや世間の批判が青柳に向けられる。
 青柳が七福神めぐりをしていたことがわかり、それはなぜだったのか?柳の息子悠人(松坂桃季)は父を批判し自分にわだかまりがあったようだ。被害者の足取りを追う中、被害者青柳は息子の中学の恩師に電話をかけていたことがわかる。恩師から高校時代の水泳部で事故があったことも聞き出した。そして事故の被害者の母親がインターネットの麒麟の翼という題で事故にあった息子の闘病生活を発信していたことがわかり、それが七福神巡りと関係していたことも分かってきた。柳は事故後息子の様子が変わったことをしって、この事故は単なる事故ではないと確信し、事故時の息子の友人たちに話を聞き出そうとしていた。結局水泳部で事故にあった部員が水泳大会で負けた原因であったとその部員をしごいたところプールで意識消失をおこし後遺症を持ったのであった。それを隠したのが恩師の指示であり、逆にそのことを気付きつつあった正義感の強い青柳が事故時の水泳部員の一人である息子の友人に殺される羽目になった。
 死に向かう中、事実から決して逃げるなというメッセージを柳は息子に残すため日本橋の麒麟の翼のところまで瀕死の重傷にもかかわらず歩いてきたのである。