英国王のスピーチ

 ジョージ6世(コリン・フォース)は小さいときから吃音をかかえ悩んでいた。英国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)の次男でありながら人前に出ることが苦手で内気な性格は父王の気に入らず無理矢理スピーチをさせられていたがいつも普通には話せなかった。妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム・カーター)に付き添われ、何人もの言語療法士を訪ねたが改善しなかった。エリザベスは言語療法士ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)を訪ねるが、今までとは違った型破りの治療法であった。ライオネルはジョージの吃音を治療するのに、愛称のバーティで呼び、タバコをやめさせ、ジョージの心理的問題もあると考えるライオネルはプライベートな問題を無遠慮にジョージにぶつける。最初の診察の最後は大音量の音楽の中でジョージにシェイクスピアの一節を朗読させたのでさすがにジョージは付いて行けなくなった。
 だがクリスマス放送のスピーチが失敗に終わり、何気なくライオネルに渡されたレコードを聞いてみるとよどみなく話す自分の声が録音されていた。ジョージはその日からライオネルの治療を受け始める。ジョージ5世が亡くなり跡を継いだ長男のエドワード8世(ガイ・ピアース)は女性問題で王位を辞め、なりたくなかったジョージが王位を継ぐ。王位に複雑な思いを持っていたジョージをライオネルは励まそうと思ったが逆効果になり喧嘩別れをしてしまう。しかし王位継承評議会でのスピーチもうまく行かず泣き崩れエリザベスに慰められる。ジョージはライオネルしか頼れないと思い、仲直りをして戴冠式のスピーチを無事にすます。本当の試練はこれからで、ジョージはドイツのヒトラーとの戦争で不安に揺れる国民をスピーチで元気にしなければならなかった。ライオネルの協力をあおぎながらジョージは見事戦争の演説をして国民に勇気を与えた。
 吃音は生まれつきでなく幼児期の心理的葛藤をかかえて起こってくるだろうし、色々な訓練をして時間を懸けて治して行く必要があるだろう。