13人の刺客

 時は江戸時代末期、明石藩江戸家老間宮図書(内野聖陽)が主君の明石藩松平斉韶(稲垣吾郎)の非道を諫めるため老中土井大炊頭利位(平幹二郎)邸の門前で切腹する。斉韶は人生に絶望しており、人間の命を何とも思わず女性を手当たり次第自分のものにしていく虚無的残酷な情性欠如的人間であり、重臣鬼頭半兵衛(市村正親)の制止にもかかわらず自害した間宮の一族を婦女子を含めて皆殺しにしたのである。さらに参勤交代のおり尾張藩にて接待を仰せつかった牧野靱負(松本幸四郎)の息子の嫁を手込めにし、息子采女を斬殺した。老中の土井は斉韶がまがりなりにも将軍家慶の腹違いの弟であり、将軍家からは多めにみてやれとのお達しがあったため公式には処理不可であった。しかしこの時代にも真の武士がおりこのような非道を聞いては黙っておれない侍達がいた。土井は腹心の公儀お目付役島田新左衛門(役所広司)に斉韶を殺す密命をするのであった。
 真の侍のもとには何人もの真の侍が集まっており友人の目付組頭倉永左平太(松方弘樹)、島田家の居候浪人で剣豪の平山九十郎(伊原剛)、甥の新六郎(山田孝之)、浪人で槍の名手佐原平蔵(古田新太)など12人が命をかけて非道を正しに集まった。
 敵は明石藩10万石であり、明石藩には主君には絶対服従の部下鬼頭半兵衛もいた。鬼頭と島田は同門であり手の内がお互いよく分かっていた。島田は参勤交代の帰りの折に計画を実行しようとし、鬼頭もその情報をつかんでいた。牧野に伝えて明石への帰り斉韶に尾張藩を通らせないようにして一か八か落合宿を通らせる計画をたて、落合の村で用意周到に待ち伏せにした。しかし鬼頭も準備万端守りを増やし200人近くの護衛を付けていた。落合に行く途中島田達は浪人達に襲われ山道を行くことにした。途中山の者木賀小弥太(伊勢谷友介)を救い、行く当てのない木賀は仲間になることになった。
 落合宿で13人が200人近くと凄惨な殺し合いをした結果やっとのことで斉韶を殺す。生き残ったのは新六郎と木賀のみであった。
 人には人の不幸を自分の不幸と同じように感じることが出来る可能性があるということを納得させる映画であった。