シャッターアイランド

 ボストンの沖合には精神疾患を持ちながら犯罪を犯してしまった人を収容する島シャッターアイランドがあった。1954年9月にその島のアッシュクリフ病院に連邦保安官テッディ・ダニエルス(レオナルド・ディカプリイオ)と相棒のチャック(マーク・ラファロ)が3人の子供を溺死させたレイチェル・ランド(エミリー・モーティマー)の失踪事件の捜査にやって来た。レイチェルは前夜鍵のかかった病室から忽然と消えてしまったのである。病院の医長であるジョン・ユーリー(ベン・キングズレー)から事情を聞いたテッディとチャックは自分たちと入れ替えに休暇を取ったドクター・シーハンが事件に関与していると推測する。テッディは捜査中に色々な入所者にアンドルー・レディスという患者を知らないかという質問を繰り返す。失踪事件と無関関係な名前と思ったチャックはテッディに尋ねる。テッディは最愛の妻ドロレス(ミシェル・ウィリアムズ)を放火で死なせたアンドルー・レディスがアッシュクリフに収容されていると知って自分の手で制裁を加えるために捜査に志願したことを伝える。そこにレイチェルが見つかったという知らせがはいり、テッディ達はレイチェルに面談するが錯乱状態のレイチェルはテッディを自分の夫と思いこみ混乱した過去を語っただけであった。捜査は一応終わったがハリケーンの直撃を受けた島からしばらくは出られなくなったテッディとチャックは停電に紛れてレディスの捜査をする。捜査中いつのまにか消えたチャックを探す内洞窟に一人の女性が潜んでいてその女性からテッディが島から出られないと言われた途端に自分が島におびき寄せられたと考え始めた。島に来てからの体調の悪さもそのせいかもしれないと納得した。
 島の灯台でなされているという噂がある人体実験は本当なのではないかと考え始めたテッディは灯台を調べ始めてそこにいた医長のジョンが人体実験をしていたと判断しジョンと闘おうとする。ジョンは実はテッディ自身が病気でテッディの妻が子供達を殺してしまいテッディが妻を殺したことを伝えるがテッディは容易には信じられない。そこに消えていたチャックが現れ実は自分はテッディの主治医だと伝え、その結果テッディは病んでいたのは自分であると思い出す。テッディは戦争中ユダヤの収容所での悲惨な現実をアメリカ軍兵士として経験しており、保安官として仕事をしていた時に妻と子供達を亡くしたという悲惨な現実が彼の心的外傷となり混乱のなか犯罪をおかすようになってこの島に収容されていた。

 心的外傷が本人の記憶をあいまいにし解離症状を引き起こすことは時に起こり、思い出したくない現実に少しずつ直面していくことが治療になっていく。テッディは悲惨な心的外傷のため暴力的になっていたために、意欲は落ちるが衝動がなくなるロボトミーという手術を受けるかどうかの判断を主治医がしようとしてテッディに記憶を取り戻して貰う芝居をしていたのであった。記憶が戻れば手術は避けられるのである。最後の場面は一端記憶を戻したテッディが再度忘れてしまうというところでこの映画は終わった。