「人間失格」

 津軽の有名な資産家で貴族院議員の父親を持つ大庭葉蔵(生田斗真)は一風変わった少年であり、友達付き合いが難しいため道化になって友達の笑いを誘う。そんな葉蔵の本心をクラスメイトの竹一が見破り、葉蔵は竹一に利用される。そんな葉蔵は竹一に女にもてて偉い絵描きになると予言される。上京して高等学校に入った葉蔵は画塾の先輩の堀木正雄(伊勢谷友介)に飲み代をたかられ続ける。堀木に連れられ行ったバー青い花はマダム律子(大楠道代)が営んでいたが、そこには文人がたくさん来ていて詩人の中原中也も客であったが、泥酔した中原から色々絡まれる。竹一の予言通り女に不自由なく、飲み屋の芸者、下宿先の娘礼子(坂井真紀)、カフェの女給常子(寺島しのぶ)などとつきあう。気持ちの定まらないフェシミスト葉蔵は常子と心中するが一人だけ生き残る。葉蔵の家の番頭格で葉蔵の後見人になっている平目(石橋蓮司)は結局葉蔵を尻拭いしながら無意識のうちに葉蔵を破滅させていく。事件後偶然中原と出会った葉蔵は二人で鎌倉の海を見に行きそこに死を見つめる。その後子持ちの女記者静子(小池栄子)と知り合い彼女のアパートに転がり込むが酒浸りが続く。そこをでて青い花の2階に寝泊まりするうち向かいのタバコ屋の娘良子(石原さとみ)と結婚する。つかの間の幸せに思えたが良子が他の男性と関係しているのを目撃し再度破滅に向かっていくのである。酒浸りから逃れるため薬局の女主人寿(室井滋)から麻薬をもらい今度は麻薬中毒になっていくのである。平目が結局葉蔵を入院させ、退院後青森の実家近くで最後の女になる父の女でもあった鉄(三田佳子)に面倒をみさせる。
 最後に鉄の家からも離れて電車に乗った葉蔵は今までに会った人達が電車の中に乗っているのを見る。
 人は目的を持ち続けるためにも常に良い出会いが必要であり、本人の性格と他者との出会い次第では葉蔵のように落ちていくのであろう。