「サロゲイト」

 ロボット工学の進歩により自分の分身としてロボットを操作することが可能になり、軍事用から日常生活用に使えるようになり、犯罪、伝染病、人種差別が激減し難問は解決したかのように見えた。しかし人権擁護団体はサロゲイト拒否の独立区を設置しサロゲイト反対運動をしていた。ある日FBI捜査官トム・グリアー(ブルース・ウィリス)とジェニファー・ピータース(ラダ・ミッチェル)はボストンのナイトクラブ前でおこった事件現場に降り立ち、タキシード姿の青年と女の眼球破壊とIDチップの黒焦げを見つけた。女のオペレータが住むマンションに急行した所、オペレータは眼球破裂して死んだ40男であった。現場をあとにして妻マギー(ロザムンド・バイク)の待つマンションに帰ったのはグリアーのサロゲイトであった。翌朝西海岸のウェスト・サンディエゴ大学で死んでいる大学生が発見され、ナイトクラブ前で破壊されたタキシード姿の男性サロゲイトのオペレータが彼であった。サロゲイトの破壊がオペレータの死につながることを国民に知られたらパニックになることを恐れた主任捜査官アンディー・ストーン(ボリス・コトジョー)は箝口令をひき極秘で捜査することにした。そこに死んだ大学生の身元が分かり、父親はサロゲイトの生みの親キャンター博士の息子と分かった。
 グリアーとピータースはサロゲイトを開発したVSI社を訪れ、軍隊がサロゲイトのオペレータまで殺す技術を開発している雰囲気を嗅ぎ取った。オフィスに帰ったグリアー達に吉報が舞い込み、サロゲイトとそのオペレータを殺す武器を奪ったのがストリックランド(ジャック・ノーズワージー)とわかり、サロゲイト進入禁止区域まで追いつめたが、その地域でグリアーのサロゲイトが破壊されその後自分の身体で捜査を続行することになる。生身のグリアーはキャンター博士に接近し、サロゲイト反対の教祖もキャンター博士のサロゲイトであり、結局キャンター博士がサロゲイトとオペレータを破壊する計画を立てていた。グリアーと妻のマギーは自分の子供を亡くした後、サロゲイトに依存するようになっていた。しかしグリアーはそのことに疑問を感じていて、サロゲイトでない妻と付きあいたくなっていた。しかしキャンター博士はサロゲイトだけでなくオペレータも殺そうとしていた。グリアーはサロゲイトの破壊だけで決してオペレータは破壊してはいけないと思っていた。
 キャンター博士を追いつめ、寸前のところでサロゲイトの破壊だけにとどめ、オペレータすなわち人間の命を救えたのである。
 この映画は人類が決して若々しいサロゲイトによってではなく、本当の自分をさらけ出すことによって実感・生きがいが得られるのだということを主張しているのだろう。