「パブリックエネミーズ」

 大恐慌時代銀行から大金を奪い、仲間とともに大胆不敵に監獄から脱獄したジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)は「汚れた金しか奪わない」「仲間はけっして裏切らない」「愛した女は最後まで守る」といった自分なりの信念で当時の大衆を魅了したが、FBIは彼を社会の敵1番と指名した。彼が愛したビリー・フレシェット(マリオン・コチィヤール)は半ば強引にデリンジャーに愛されたのだが、徐々に彼の虜になっていく。フレシェットの退屈な人生において始めて会った自分に最高級のミンクのコートをプレゼントしてくれたデリンジャーは自分の人生を変えてくれると確信した。
 一方FBI長官のフーヴァー(ビリー・クラダップ)は敏腕捜査官メルビン・パーヴィス(クリスチャン・ベイル)をシカゴ局長に命じてジョン・デリンジャー逮捕をマスコミに公言する。パーヴィスの活動もあったが、アリゾナ州のホテルで火事が偶然におこりデリンジャー達は逮捕される。しかしデリンジャーは偽物の拳銃で見事脱獄に成功する。新たなメンバーを加え銀行強盗を計画したが、別のギャング達は時代遅れの銀行強盗から経済犯罪に切り替えつつあり、デリンジャーには協力出来なくなっていた。計画した銀行強盗も充分な額を奪えず、隠れ家の山荘もFBIに取り囲まれ結局仲間は皆殺しにされた。FBIも多大な犠牲を強いられ、必死になってデリンジャーの知人を利用してまでデリンジャーを逮捕しようとしたが結局デリンジャーを殺してしまう。
 一般大衆は名もない人に迷惑をかけずに権力に刃向かう人間には喝采を浴びせる。一方女性は退屈な人生をかえてくれるなら犯罪者までも愛してしまうところがある。確かにそんな一面が人間にあるのだろう。