「スラムドッグ&ミリオネア」

 18歳のジャマール・マリク(デーヴ・パテル)はクイズミリオネアで今まで一人しか達成できていない難問に挑戦しインドの人々をテレビの前に釘付けにしている。実はその一人はこのクイズの司会者プレーム・クマール(アニル・カプール)であり、ジャマールが自分の後に続くのを邪魔しようとする。一日目が終わった後、警察に尋問され、お前のようなスラム出身のものが知識人以上に答えられているのは何かインチキをしているに違いないといって拷問する。警部(イルファーン・カーン)は最初はジャマールの話を全く信じていなかったが、話を聞く内にジャマールを徐々に信じていく。
 クイズミリオネアの質問がジャマールの過去に起こった忘れられない出来事と偶然にも関連していたのである。ジャマールはムンバイのスラムの出身で兄貴のサリーム・マリク(マドウル・ミッタム)と母親の3人暮らしであったが、宗教対立のなか母親は死んで孤児になる。スラムのなか必死に生きる二人はある日孤児の女の子ラティカ(フリーダ・ピント)と暮らすようになる。ジャマールは一緒に暮らす中ラティカを好きになる。しかし子供をクイモノにする犯罪集団に捕らわれ目をつぶされそうになりその集団から逃げ出す。そのときラティカと離ればなれになりジャマールはそれ以来ラティカを探し続ける。当時の3人は三銃士を自分達にあてはめて名前を覚えていたのが問題に出るという神懸かりの幸運というテーマも背景にある。その後兄貴サリームは子供をクイモノにする犯罪者集団のボスを殺した後、敵方のやくざに雇われやくざになる。兄貴がジャマールをラティカのことで裏切った後、しばらく兄貴と分かれ分かれになっていたが、コールセンターの仕事を手伝っていたときに兄貴の住所を探し久しぶりに会い、兄貴からラティカはそのやくざのボスの囲いものになっていることを聞く。ジャマールがクイズが終わった後二人で逃げようとラティカを説得し、兄貴のサリームもやくざのボスと殺し合って弟のラティカへの気持ちをかなえてやる。ジャマールは2日目の最後の質問にも答えられ、ラティカと会うことが出来る。
 インドのスラム出身の人間が大金と愛の両方を獲得できた話は貧しいインド人に大きな夢を与えるだろう。運命が人の人生をきめており、偶然が人を幸せにする。