「エリザベス 黄金時代」

  16世紀の終わり頃、エリザベス1世(ケイト・ブランシェット)は父ヘンリー8世の意志を次ぎプロテスタントの女王として国内に残るカトリックの反乱の鎮圧に心懸けていた。イングランドにおける不安と宗教的憎悪の中、ヨーロッパ列強はイングランドを狙っていた。エリザベス1世の姉の夫であるスペイン王フェリペ2世はカトリックを信望し、イングランドに圧力をかけ続けていた。他国の王たちも未婚のエリザベス1世と結婚しイングランドを我がものにしようとしていた。エリザベス1世はそれを逆手にとりどうにか見かけ上の友好な国際関係を築いていた。国内ではエリザベス1世の側近フランシス・ウオルシンガム(ジェフリー・ラッシュ)がスパイ組織を指揮し反逆の芽をつみ取っていた。
 さらにカトリックでスコットランドの女王メアリー・スチュアート(サマンサ・モートン)は自分こそイングランドの女王と吹聴し、スペイン王フェリペ2世とも手を組んでおりイングランドに軟禁されていた。暗殺の危機に晒されながらも、エリザベス1世の心のよりどころは侍女ベス(アビー・コーニッシュ)であった。ところが航海士ウオルター・ローリー(クライブ・オーウェン)は次の航海のための資金を女王から引き出そうとしてベスの計らいで女王に近づく。野性味あふれ教養も豊かなローリーの冒険談や植民計画を聞く内、女王はローリーに惹かれていく。ローリーも知的で気高い女王に尊敬以上の感情を持つ。
 そんなときエリザベス1世に銃口が向けられ、メアリーの指示によるものと分かる。しかしその銃には弾が入ってなくエリザベスは一命をとりとめたが、ウオルシンガムはメアリーの処刑を進言する。これはメアリーを殺させることでカトリックの怒りに火を付け、イングランドを我がものとしようとしていたスペイン王フェリペ2世の陰謀でもあった。メアリー処刑で嘆き悲しむエリザベスはローリーに慰められローリーにキスを求めるのであった。その後ローリーはベスの従兄弟がカトリックの反乱の罪で処刑されたときベスを慰めようとして一夜を共にし、ベスはローリーの子供を身ごもってしまった。女王に許可なく内緒で結婚したベスとローリーをエリザベスは許せなかった。信頼していたベスと愛していたローリーがエリザベス1世を裏切っていたため、エリザベス1世はローリーを投獄する。
 一方メアリー処刑に憤慨したフェリペ2世はスペイン艦隊を組織しイングランド侵攻を目指していた。世に言うアマルダの海戦であり、劣性のイングランドはプロテスタント国民すべてに闘いを呼びかけ、ローリー等投獄されていたものも恩赦して闘いに加わるようエリザベス1世自ら甲冑を着て死ぬ決意を国民に示す。海戦中風が強まり火を使った戦術が見事スペイン艦隊を全滅させイングランドはスペインに勝利する。
 女王という孤独な立場で独身を通したエリザベス1世は信頼できる部下と強力な信念を持っていたと思われる。