「オール・ザ・キングスメン」

 郡の出納官のウィリィー(ショーン・ペン)には教師の妻ルーシーと一人息子のトムがいた。実直なウィリィーはルイジアナ州メイソン市の新しい小学校の校舎入札で役人の汚職を知って市民に汚職を訴えたが、誰にも相手にされなかった。逆に職を失って掃除用品を売り歩いていた。しかしウィリィーは信念を捨てずに、汚職が明らかになる日が来ると確信し好きなお酒もやめていた。
 上流階級出身のクロニクル紙記者ジャック(ジュード・ロウ)は当初からウィリィーに心情的に加担していたが、彼の言うとおりその小学校で事故があり児童3名がなくなり欠陥工事が明らかになった。ジャックはすぐに記事にして、ウィリィーの人気は絶大になった。そのため州の役人タイニー・ダフィー(ジェームズ・ガンドルフィーニ)が次の知事選にウィリィーを担ぎ出そうとした。実はタイニーは現州知事の対立候補の票を割るためのあてうまだった。メイソン市を離れるに従いウィリィーは人気がなくなっていくのであった。
 選挙のうまい美人広報官セイディー・パーク(パトリシア・クラークソン)にジャックはウィリィーを利用していると攻撃した。ウィリィーも与えられた原稿を読んでるだけでは駄目だと思い、自分の言葉で貧しい生い立ち、労働者や農民の味方であること、富裕層が富を独り占めにしていることなどを喋った。この演説は貧しい人々の心を打ち、ジャックの新聞記事とあわせてウィリィーは地滑り的勝利を得たのである。一方ジャックはクロニクル紙の意に反して記事を書いており新聞社を辞めざるを得なかった。
 5年の間にジャックはウィリィーの広報官になり、セイディーはウィリィーの愛人になり、タイニーはウィリィーの副知事になっていた。ウィリィーは絶大な権力を持ち愛人問題、汚職などなんでもありの状態だった。しかし富裕層だけは目の仇にして、貧しい人々の学校・病院などを作った。遂に富裕層だが高潔で人気の高いアーウィン判事(アンソニー・ホプキンス)はウィリィーを弾劾すべきと発表した。アーウィン判事はジャックの父が幼いころに家をでてから、ジャックの母とジャックにとても親切だった。しかしウィリィーはジャックにアーウィンのスキャンダルを探すよう命ずる。ジャックはアーウィンのスキャンダルを調べるため、小さい頃よく遊んだアン・スタントン(ケイト・ウィンスレット)とあったり、その兄で親友の医師アダム・スタントンともあった。2人は元州知事の子供だが今は経済的に苦しい状態であった。アン・スタントンとジャックは愛し合っていたにも関わらず、発展せず別れてしまっていた。アン・スタントンはウィリィーの愛人になっており奨学金をもらったり、兄の院長就任を頼んだりしていた。
 ジャックは色々アーウィンのことを嗅ぎ周り、やっとの事でアーウィンのスキャンダルを握り、アーウィンに弾劾に反対するよう説得したが返事は貰えなかった。ジャックがアーウィン宅をでたあとアーウィンが自殺したとジャックの母に連絡があり母から実はアーウィンがジャックの本当の父親であったことを聞かされる。議会では知事の弾劾は退けられウィリィーは得意の絶頂だった。しかし真面目なアダム・スタントンが自分の院長就任がウィリィーの愛人である妹の力であることを知ってウィーリィーに弾丸2発をぶっ放し、アダムもボデーガードのシュガーボーイに殺されてしまった。
 ウィリィーは貧しいものために働いたが自分が汚れていてはひずみがどこかに生ずることを示し、ジャックの生き方は自分が直接計画しない生き方で流されたため、自分の周りが不幸になっていったことなどを示している。