「墨攻」

 中国の戦国時代(紀元前370年頃)、趙と燕にはさまれた梁は危機に陥っていた。趙の大群が燕を攻撃するため、手始めに梁城を侵攻しようとしていた。趙の将軍は百戦錬磨の巷淹中(アン・ソンギ)であった。頼みの綱の墨家は間に合いそうになく、梁王(ワン・チーウェン)は降伏しようとしていた。その時粗末な身なりをした墨家の革離(アンディ・ラウ)がただ一人で到着し、一本の矢を細工して遠くに飛ばすことによって同時に到着しようとしていた趙の高賀用の出鼻をくじいた。革離は1ヶ月持ちこたえれば趙は撤退するといって梁軍の全権を得た。かれは早速城中の老若男女を総動員して戦いに対する準備をする。王子の梁適(チェ・シウォン)を差し置いて弓兵の子団(ウー・チーロン)を弓隊長に抜擢するが、子団は王子との腕比べで王子に勝ち革離の正しさを証明した。逃亡農民から墨家の革離のことを聞いた巷淹中は梁城近くまでやってきて革離と将棋をして彼が好敵手だと分かる。
 ついに趙軍の総攻撃が始まったが、梁城は火に対する防御は完璧で、多彩な攻撃手段にて革離自身も危険な目にあいながら趙軍を撤退させる。革離の活躍に王直属の女性騎馬隊長の逸悦(ファン・ビンビン)は革離を愛するようになり、靴を贈ろうとするが革離は丁重に断る。革離は密偵・刺客をみつけだし、敵陣を偵察をするなか、逸悦は革離に付き添う。偵察でトンネルが掘られていることが分かったが、敵に見つかり、逸悦は泳げないにもかかわらず断崖から川に飛び込み革離も飛び込み二人は助かる。梁城に帰った革離は竹筒で敵のトンネルの近づき具合を知り敵を城内におびき寄せ一網打尽にした。真っ先にでてきた奴隷の袁羽(シャーン・プライス)は女の子を人質にとるが、革離の説得で女の子を返し袁羽は助けられる。一方梁の将軍牛子張(チン・シーホウ)は降伏した敵兵を皆殺しにする。その夜、逸悦が傷の手当てをしていた革離に自分を差し出そうとするが、敵兵の皆殺しに対する自責の念に駆られた革離は逸悦を拒否し城を出ようとする。
 民衆に絶大なる人気を得た革離に疑惑を感じた王は、丁度斉が趙に攻め入ったと聞きこれ以上趙軍が攻めてこないと考えるや否、革離を謀反の罪で捕らえようし、革離をしたうようになっていた王子は彼を無事逃がす。このとき王子は逆に死んでしまう。
 一方梁をあきらめたと思わせて、精鋭数千人で梁を責める計画をしていた巷淹中は革離の去った梁城を簡単に攻め取り、民衆を人質に革離に降伏を申し渡す。逸悦を愛そうと決めた革離は城に戻り、袁羽と協力して地下水脈を利用した城沈没作戦をたて、巷淹中に家来を退かせないと家来が犠牲になる状況で巷淹中は潔く負けを認め、死ぬことにした。逸悦は王に寸前のところで馬裂きの刑に遭いそうになり、今は地下牢の水に溺れようとしていたが、残念ながら革離は逸悦を助けるのに間に合わなかった。王の嫉妬により、梁城が滅び、孤児たちの手を引いて墨家革離はどんな道を歩むのだろうか?