「デパーティッド」

 ボストン南部、貧困と犯罪が多発する地域にビリー・コスチガン(レオナルド・ディカブリオ)とコリン・サリバン(マット・デイモン)は生まれ育った。ビリーは犯罪者の一族に生まれ自らの生い立ちと決別するために警察官を志し、コリンはボストン南部を牛耳るギャングのボス・コステロ(ジャック・ニコルソン)の腹心の子分として警察に潜入するため警察官になった。同じ警察学校で同じく優秀な成績を収めた2人はお互いを知らぬままそれぞれの道を歩み始める。ビリーは生い立ちからクイーナン警部(マーティン・シーン)とディグナム巡査部長(マーク・ウオールバーグ)の2人に説得されギャングの潜入捜査を命じられる。この秘密捜査を知っているのはクイーナンとディグナムの2人だけである。コリンはエラビー警部(アレック・ボールドウィン)のもと警察内部で優秀な仕事をして出世をしていく。
 ビリーは人を殺しても平気なギャングの集団の中でいつ自分の身分がばれて殺されるかもしれない状況のなかで精神的に不安定になりながら任務を遂行していく。元警察官という身分で警察官担当の精神科医マドリン(ビーラ・ファミーガ)に治療を受けながらビリーは本当のことを言えないままマドリンを愛し始める。一方コリンも警察署で知り合ったマドリンに好意をよせる。当然ながらマドリンは2人に興味を惹かれながらコリンと結婚生活する方を選んでいくのである。潜入捜査という本当のことを言えないままビリーはマドリンを愛しながらも諦めざるをえないのである。
 やがてコステロも自分の周りに警察のスパイがいることが分かり、警察も警察内部にコステロの内通者がいることがわかりふたつの組織は死に物狂いで裏切り者を探し始める。コリンは自分が内通者にも拘わらずエラビー警部に信頼され内通者探しの責任者に任命され、クイーナンからギャングに潜入した警察の捜査官を探ろうとする。クイーナンと会う潜入捜査官のいる所をコリンはコステロに伝え、遅れてきたものが潜入捜査官であると分かる危機的状況のなかでクイーナンはギャングに殺され、ビリーは寸前のところで潜入捜査官と疑われずに済むのである。負傷を負ったギャングの一人がFBIのスパイだったのである。
 一方警察への内通者はコステロ本人であるというビリーの間違った情報を信じたコリンはコステロの犯罪現場でコステロを殺し、結局警察内部で表彰される。同時にディグナムもコリンとの確執で警察を辞め、ビリーを復帰させる権限はコリンのものになっていたのである。まもなくビリーも警察に戻り警察内部の内通者を暴く過程でコリンが内通者であることが分かったがそれを気取られたビリーは警察の潜入捜査官であった記録をコリンに消されてしまう。ビリーはコリンがギャングの内通者であった記録をマドリンに渡し、自分が死んだら警察に知らせるようにと頼む。
 ビリーはコリンを呼び出し、自分の身分を戻すように力ずくでせまったが、もう一人のギャングの内通者にビリーは殺されてしまう。運良くコリンは助かり、警察内部で出世するのだが、マドリンの情報でディグナムはコリンを殺し結局はこの話は終わるのである。
 立場の違う二人が同時並行的に活動し、危険が交錯する話は人をどきどきさせる。