「ブラック・ダリア」

 1946年ロサンゼルス市警のバッキー・ブライカート(ジョシュ・ハートネット)とリー・ブランチャート(アーロン・エッカート)はメキシコ人の暴動鎮圧の時に二人ともボクシングが出来ることで知り合いになる。二人はボクシング好きの地方検事エリス・ロウからロス市警PRのためボクシング試合を提案される。バッキーは認知症の父親を施設にいれるため自分が負ける八百長をした。望み通りお金を得て父親を施設に入れることができ、さらに幸運なことにロス市警への貢献が認められセントラル署特捜課に配属される。リーには同棲している恋人ケイ・レイク(スカーレット・ヨハンソン)がいて、ある日バッキーはリーとケイ二人に夕食を招待されて以後三人はよく一緒に過ごすようになった。1947年凶悪犯レイモンド・ナッシュを追う2人は張り込み中銃撃戦に巻き込まれる。ケイの元情夫ボビー・デヴィットが銀行強盗の黒幕だとたれ込んだバクスター・フィッチが現場にいて殺される。このとき油断していたバッキーはリーに命を助けられる。同じ時期ほぼ同じ場所で若い情婦が腰から下と口を切り裂かれた猟奇的殺人事件が発生する。リーはナッシュを追うよりこの事件にのめり込んでしまう。この殺された女性はエリザベスという22歳の女性で女優を目指していたが芽が出ず娼婦まがいの生活をし、黒いドレスを着ていたのでブラック・ダリアとマスコミで呼ばれるようになった。
 バッキーはエリザベスが映画出演すると言っていたこと、同じアパートの住人ローナと一緒に男装の麗人と話していたことを掴む。レスビアン・バーでその女性がマデリン・リンスコット(ヒラリー・スワンク)であり、ハリウッドの土地開発で財をなしたエメット・リンスコットの娘とわかる。マデリンはエリザベスと会ったことを認め、名前を公表しない約束でバッキーを自宅に誘う。バッキーはリンスコット邸に訪問し、母親ラモーナがバッキーを気に入らなかったため、ラモーナによって醜態を見せつけられたため、バッキーとマデリンの2人は家を出てモーテルで愛し合うのである。
 バッキーがエリザベスの知り合いのローナを発見し、押収したフィルムがローナとエリザベスが絡み合うポルノだったため、リーは激昂しすぎて捜査からはずされてしまった。ところで本来追っていたレイモンド・ナッッシュが強盗殺人を犯してこれを悔やんだバッキーはリーがブラック・ダリアを追うようになったためレイモンド・ナッシュの殺人事件がおこったと感じて、リーを殴りつける。リーの家を訪れケイの話から、リーの妹も殺されていたためリーがブラック・ダリアにのめり込んだことを知る。情報屋かつクラブの経営者のモリーからデヴィットの麻薬取り引きの話をバッキーは聞きモリーのビルに向かう。その現場にはデヴィッドもリーもいたがデヴィッドはなにものかに殺され、リーは顔に傷のある男と階上で格闘していた。そこにもう一人の男が現れリーに斬りつけ格闘中の2人は階下に落ちて2人とも死んでしまう。バッキーはモリーの部下に不審者として殴られ気を失うが気が付いた時にはモリーは死んだ2人をマスコミや警察に知られるリスクを考え火葬してしまった。バッキーは深い心の傷を負ってリーに貸していた父の部屋を訪れるとそこはブラックダリアの捜査資料で一杯であった。リーはこの事件で何かをつきとめていたのである。混乱したバッキーはケイの所に訪れリーを失った悲しみのあまり2人は激しく求め合う。翌日ケイに浴室の修理を頼まれそこで偶然大金を発見し、バッキーがケイを突き詰めるとケイは銀行強盗のデヴィットをリーが逮捕した時に横領した金であることを白状する。リーに命を助けられたと思っていたバッキーは錯覚していて、実はリーがたれこみやのフィッチに脅されていてデヴィッドとフィッチの2人を殺そうとしてフィッチを殺したのであった。バッキーはリーに利用されていたのである。
 リーとケイに騙されたと思ったバッキーはマデリンに慰みを求め車を走らせる。マデリンと一夜を過ごしたバッキーはマデリンの家にある笑う道化師の絵とエリザベスの死体がそっくりであり、リーとケイの3人で見た映画の題も笑う男であり、そのセットはエリザベスの映っていたポルノ映画のセットと同じであるのに気が付き、ローナの証言と併せてエリザベスがでていたポルノ映画はマデリンの父エメットが開発したハリウッドランドで撮られたのであった。ハリウッドランドを調べてエリザベスが殺された証拠を見つけたバッキーはエメットとマデリンの家に行き、2人を問いつめるとそこにマデリンの母ラモーナがやってきてエリザベスを殺したのは私とエメットの親友ジョージであったことを告白する。以前ラモーナとジョージは浮気をしていてそれを見つけたエメットはジョージの顔を傷つけたのである。それを慰めるために笑う男という本をラモーナはジョージに送り、エメットは映画好きのジョージにその映画を作らせたのである。さらにエリザベスを慰みに与えたが、それを知ったラモーナはエリザベスを殺しジョージに死体の処理を手伝わせたと告白し、自殺してしまう。実はリーもこのことを掴んでおりエメット一家を脅していたのである。脅されたエメット一家はリーを殺したのである。リーと格闘していたのはジョージであり、リーに斬りつけたのは男装したマデリンだった。マデリンを突き止めたバッキーはマデリンを殺し、結局はケイの所に戻るのである。
 非常に複雑な話であり、謎が入り組んでいるにも拘わらず何か分かる気がする映画ではある。