「日本沈没」

  駿河湾で大地震が発生し、小野寺俊夫(草 剛)がその災禍に会い、横転した車から這い出た時に一人の少女が彷徨っていた。建物の崩壊の下敷きになりそうだったその少女を救わなければと思って少女を庇った時に爆風が後ろから襲いかかる。その時ヘリコプターの音が聞こえ消防庁のレスキュー隊の隊員に救われる。その隊員が防塵マスクをはずした顔は女性ハイパーレスキュー隊員の阿部玲子(柴崎コウ)であり、二人は運命的出会いをする。
 アメリカ測地学会のユージン・コックス博士は日本がマントルの動きで将来沈没すると話をしていた。内閣緊急会議で総理大臣の山本尚之(石坂浩二)はこの日本を救う方法が分からず、ただため息をつくだけだった。その会議に出席していた地球科学者の田所雄介(豊川悦司)は独自の調査を始め、深海掘削船<ちきゅう>をベースにわだつみ6500のパイロット小野寺と結城(及川光博)と共に資料を集めて驚愕の事実を知ることになる。再招集された緊急会議で地球温暖化で発生したバクテリアがメタンガスを発生しそれがメガリス(太平洋プレートがマントルに接して大きく固まっている部分)沈降の潤滑油になり、日本が一年足らずで沈没する事がわかる。列席した科学者は田所の説を否定するが、田所は予言する。「プレート断裂は北海道から始まり、阿蘇が噴火し、四国から近畿にある中央構造線は裂けて南が沈み、フォッサマグナが裂け始めたら富士山が大噴火して日本は一気呵成に沈んでいく。」
 国際海洋センターで調査を続ける小野寺のもとを玲子が訪ね、二人が助けた少女倉木美咲(福田麻由子)が父を震災で亡くし、母も重体で小野寺にも励ましに来て欲しいと頼む。小野寺は美咲を励ますため、玲子の叔母(吉田日出子)の実家のもんじゃ焼き屋に足を運ぶようになる。こうして小野寺と玲子の二人はお互い惹かれるようになる。
 一方総理の山本は田所の仮説を重く見て田所の元妻で文部科学大臣の鷹森沙織(大地真央)を危機管理担当大臣に任命する。鷹森は早速日本沈没研究期間D1を立ち上げ、田所に参加するよう呼びかけるが、国民脱出が先だと言い張る田所と袂を分かつ。小野寺や結城もチームの解散を言い渡されるが、国家秘密事項として日本が1年以内に沈没することを教えられる。
 日本が徐々に田所の言うように大災害が北海道や阿蘇山で起こり始め、山本総理が日本人救出を中国に頼みに行く途中で阿蘇大噴火に見舞われ亡くなる。内閣官房長官の野崎亨介(国村隼)は現実的、利己的で国民を見殺しにする傾向があった。野崎は一年以内で日本沈没する可能性が高いにも拘わらず、5年以内と国民を騙す。この間にも日本人は何百万と死んでいくのであった。
 レスキュー訓練に日々励む玲子は阪神大震災で両親をなくし、自分を救ってくれたレスキュー隊に感謝して、自分も一人でも多く災害時に子供を救いたいと考えていると小野寺に伝える。小野寺は日本が一年以内に沈没することを知っていたため、イギリスに移住して自分と結婚するよう玲子に頼むが、玲子は災害で救いを求めている子がいる限り、日本に残るときっぱり言う。
 孤軍奮闘の危機管理大臣鷹森は必死で田所に何か救う可能性はないのかを訪ねた所、世界中から海底掘削船を借りて核爆弾に匹敵するN2爆薬を日本が乗っているプレートに仕掛けて日本とプレートを切り離せば救われると教える。しかし深海の起爆装置に向かって、N2をもって誰が点火しに行くのかを田所達が思案していたところ結城は自分は家族のため国を守りたいといって志願する。しかし地殻変動の地震などにより結城は死んでしまい失敗する。N2を起爆装置の近くに放置したままになってしまった。小野寺は玲子の言葉や、結城も命を懸けて日本を救おうとしたことに胸を打たれて自分は旧式のわだつみで命を懸けて日本を救う。自分にも救いたい人がいるといって志願する。その気持ちが天に届いたのか小野寺の活躍でN2は爆発し日本が救われる。
 人を動かすのは人への気持ちである。それがまた人に通ずる。死をかけてまで人を救いたいという気持ちが人類を動かしていると感じさせる映画であった。ただ小野寺の移動の詳細や鷹森の外国への交渉があまり見えなかったのが残念である。