ファブル

 料亭でマフィアとやくざが宴会をしていた。ところが一瞬のうちに全員が射殺される。殺し屋ファブル(岡田准一)が殺しを実行したのである。迷いもなく機械のように実行するその殺しは天下一品であった。料亭の死体処理を請け負った会社が下請けのフード(福士蒼汰)と相棒のコード(木村了)に襲われるがそこで二人はファブルが存在して恐るべき能力を見て都市伝説だったファブルの存在を確信し逆に自分たちがファブルを殺して都市伝説になろうとしていた。
 ファブルのボス(佐藤浩一)に「今回、お前は大阪で普通の生活をしろ。絶対人を殺したらあかん。もし一人でも人を殺したら俺がお前を殺す。」と言われてファブルは、妹として一緒にやってきた相棒ヨウコ(木村文乃)とともに大阪のあるやくざ組織の若頭海老原(安田顕)の世話になる。大阪の町を歩いていると通りすがりのチンピラにからまれるが普通の人のように振る舞うためたたかれたり、泣いたふりをする。それを見ていたミサキ(山本美月)に同情される。ファブルは普通の暮らしのためには仕事をしなければならないが、ずっと殺し屋をしていたため面接がうまくいかず断られる。偶然再会したミサキにミサキのアルバイト先のデザイン会社を紹介され時給800円で雇われる。ファブルの楽しみはただ単純なテレビのお笑い芸人であった。
 ファブルは小さい時にボスに拾ってもらって、訓練としてのサバイバル生活で生き延び殺し屋にさせられた。性格もコミュニケーションが難しく、殺しの仕方に異常なこだわりがあることから発達障害という一面があり、殺しの天才といえる。しかしボスはこのままではファブルに先がないと思って普通に暮らすという無理な注文をしたのであった。
 一方同時期に海老原の弟分小島(柳楽優弥)が出所してきて暴力・恐喝で女を風俗で働かそうとする。海老原に止められていたにも関わらずミサキを支配しようとする。そんなとき海老原と勢力争いをしており、小島に配下を殺された砂川(向井理)が、ファブルを求めて大阪に来ていたフードとコードに頼んで、小島とミサキを拉致して配下を殺したのは海老原の命令だと言わそうとする。こんなときに海老原は心臓の病気で入院していた。
 ファブルはミサキに借りを返すのが普通のことと思い、またボスに言われているように決して人を殺さずに、海老原に頼まれ小島を取り戻しに大勢の部下のいる砂川のところに侵入する。まさに飛んで火に入る夏の虫。しかしさすが都市伝説の殺し屋ファブルは大勢のやくざを殺さず、さらに強敵フード、コートに手こずりながらも倒して、ミサキと小島を救い出す。一つの活動に天才的力を発揮する知的障碍者をイディオ・サヴァンというがまさにファブルがそういう特徴を一部持っていた。