人形の眠る家

 離婚寸前の仮面夫婦、播磨薫子(篠原涼子)とIT機器メーカー社長の和昌(西島秀俊)の娘瑞穂(稲垣来泉)がプールでおぼれる。救急医療によって命が救われるが、脳死状態になってしまった。臓器移植を決めたはずだが、一瞬瑞穂の指が動いたのを感じた薫子は意識が戻ることを期待して娘の世話をすることに決める。和昌は妻薫子が一所懸命に娘の世話をするのを見て、部下の星野裕也(坂口健太郎)に命じて大脳・脊髄に電気刺激を与えて体を動かす方法の開発を命じる。さらに和昌は横隔膜ペースメーカーを使って呼吸器をはずせる手術を受けさせる。
 こうして呼吸器を外せるようになった瑞穂、さらに機械で手足、表情などまで操作できるようになった瑞穂を見てますます薫子は瑞穂の世話にのめり込む。しかし学校や地域にまで瑞穂を連れて行き、みんなが気味悪く感じていることを瑞穂の弟生人(斉藤沙鷹)が薫子に伝えると薫子はショックを受ける。和昌も薫子の様子を見てこれは瑞穂が生きているのではなく薫子の瑞穂が意識を取り戻してほしいという薫子の欲望に過ぎないのではないかという考えが生じ始めた。
 追い詰められた薫子は瑞穂を殺そうとして警察を呼ぶ。警察に対し、瑞穂は脳死と判定されたら死んでいるわけだから瑞穂を殺しても殺人罪にならないといってみんなの前で瑞穂を殺そうとする。ここで実は瑞穂の溺死はいとこが指輪をプールに落とし、それを瑞穂がとってあげようとしたが、プールの吸水口に手が挟まれて溺れ死んだのであった。誰かのために死んだのであった。
 結局薫子の気持ちをくんで見守る中しばらく育てようとするが瑞穂は息を引き取り、臓器移植されることになった。