万引き家族

 街角のスーパーで鮮やかな連携プレーで万引きをする。父治(リリー・フランキー)と息子祥太(城桧吏)である。肉屋でコロッケを買ったあとの帰り道、団地の1階で小さな女の子(佐々木みゆ)が震えていた。両親の虐待を受けているらしい。治はその女の子をばあちゃん初枝(樹木希林)の家に連れてきて、初枝はうどんを作ってあげる。名前を聞いたらゆりといった。その夜治は妻の信代(安藤サクラ)とゆりを返しに行くが、ゆりの両親が怒鳴りあっていたので返すことができなかった。翌日治は日雇いの工事現場に、信代はクリーニング工場に仕事に行く。祥汰とゆりは駄菓子屋に万引きしに行く。一方初枝は亜紀を連れて年金を下ろしに行く。亜紀はマジックミラー越しに客と接するJK見学店で働いている。
 春の訪れとともに小さな女の子が行方不明というニュースが流れ、本当の名前がじゅりであることが分かる。治は仕事で怪我をし、治っても働かず、信代は工場を首になり、家業の万引きで生活する。家族は人間関係が暖かい生活をしていたが、ある日初枝が死んでしまう。葬式代の金がないため床下に埋める。ばあちゃんの年金を引き続き引きおろし生活費にあてる。徐々に明らかになるのだが、信代も幼児期虐待を受けており、亜紀も祥太も他人同士でみんな家族から虐待を受けていたのである。それぞれそんなある日、祥太が万引きでつかまり、じゅりが行方不明の女の子であり、初枝が床下に埋められていることが発覚し、前科のない信代が罪を背負うことになる。祥太も児童施設に引き取られ最後は家族がばらばらになる。
 彼らの本当の家族には虐待があり、一方この家族は法律違反だが暖かい。本当に考えさせられる映画だ。