孤狼の血

　昭和６３年暴力団対策法成立の直前の広島県K市。新たに進出してきた広島の巨大組織・五十子会系の加古村組と地場の暴力団・尾谷組との抗争の火種がくすぶっていた。そんなとき加古村組関連の会社社員の上早稲二郎（駿河太郎）の失踪事件が起こる。マル暴のベテラン刑事大上（役所広司）は新人刑事日岡（松坂桃李）とともに事件解決に奔走する。大上はやくざとの繋がりも深く違法捜査すれすれである。新人の日岡は広島大学出身のエリートであり、大上のやり方には馴染めない。日岡は実は県警中央から大上の違法性の内定も命令されていた。大上の捜査から上早稲は加古村組に拉致されたことがわかった。そのころ加古村組が尾谷組の若い者を殺す。これをきっかけに二つの組は全面戦争に入ろうとする。尾谷組の若頭・一ノ瀬守孝（江口洋介）は大上が加古村組を壊滅してくれる日を待っていたが、堪忍袋の緒が切れ大上に期限を設定した。大上は過激な捜査をして約束の日に上早稲の遺体を発見する。しかし大上の過去の捜査で大上が殺人を起こしていると言われている事件を追っていたマスコミの記者高坂隆文（中村獅童）のリークで大上は身動きが取れなくなった。こうして抗争が止められずに破裂する。
　実は大上はやくざでも若者の命が失われるのを必死で止めようとし、以前の事件で殺人を犯したのは死んだやくざの愛人で子供がいたので犯行を隠ぺいしたのであった。日岡は大上の信念と大上が調べていた県警上層部の黒いつながりのノートを発見し大上を見直す。その大上が無茶な捜査の結果やくざに殺され。日岡は本当に悲しくなり、大上の信念を引き継ぐ決心をする。