空海

 唐の玄宗皇帝から数十年経った時代、空海(染谷将太)は仏教の真髄を極めるため長安に来る。そのころ、都の役人陳雲樵(チン・ハオ)の妻春琴(キティ・チャン)が人の言葉を話す怪猫にお金のありかを教えてもらう。陳雲樵は喜ぶが春琴は次第にその猫に取りつかれる。王宮では皇帝が奇病にとりつかれたため空海も法術を見込まれ、王宮によばれるが皇帝は亡くなる。記録係の役人白楽天(ホアン・シュアン)と空海は近くに猫の毛が落ちていたので皇帝の死を怪しむ。猫の足跡を追ううち次の皇帝も死ぬとかかれた札を発見する。
 二人は何かの縁で出会ったが、空海は青龍寺に入れず悩んでおり、白楽天も玄宗皇帝(チャン・ルーイー)と楊貴妃(チャン・ロンロン)の悲劇を歌った長恨歌が完成できずにいた。
 空海と白楽天の二人は仲良くなり、怪猫を追ううち、街でみるみるうちに西瓜の種を西瓜に成長させる西瓜売り瓜王(チェン・タイシェン)と出会ったが空海すら術を見破れなかった。白楽天は空海を妓楼に誘い、そこで陳雲樵が新人妓生玉蓮に好意を寄せたため妓生麗香(シャー・ナン)が嫉妬に駆られたためか怪猫があらわれ陳雲樵の部下が次々殺害され、役人は空海と白楽天に探索を依頼する。毒を飲まされた玉連を救った空海は陳雲樵に自分の妻春琴も怪猫に取り付かれているので救ってほしいと頼まれる。陳の屋敷につくと春琴は月光に照らされながら、屋根にて李白の詩を口ずさんでいた。それは怪猫がみせた幻術であった。李白の詩を調べると皇帝の死と陳の屋敷の異変が数十年前の楊貴妃の死と結びついている可能性があった。猫が取り付いた春琴から自分は玄宗皇帝が飼っていた猫であり皇帝の命令で陳の父陳玄礼に生き埋めにされたと語り、長恨歌は真実を語っていないと話した。自分の詩が真実でないといわれた白楽天は空海と仲違いするが、亡くなった師匠の代わりに唐にやってきたことを白楽天に告白した空海は再び友情を復活させる。
 空海たちは楊貴妃の死の真相を調べ、楊貴妃の死の現場に玄宗皇帝の高官であった阿部仲麻呂(阿部寛)が居合わせたことを知り、彼の側室白玲(松阪慶子)から日記を借りる。玄宗皇帝が楊貴妃のため開催した極楽の宴で天女のような楊貴妃に仲麻呂が魅されたこと、玄宗皇帝が李白に楊貴妃を讃える詩を書かせたこと、長安一の幻術師黄鶴が弟子丹龍(オウ・ハオ)白龍(リウ・ハオラン)とともに幻術ショウを披露したことも書かれていた。宴の10日後楊貴妃を我が物にしようとした将官安禄山(ワン・デイ)が謀反を起こす。皇帝の側近だった陳玄礼が玄宗皇帝を裏切り楊貴妃の死を要求する。しかし皇帝、仲麻呂、黄鶴等誰も決断できなかったが、黄鶴は楊貴妃を仮死状態にし助けるというアイデアを出し、楊貴妃も受け入れる。しかしそれは玄宗皇帝も知っていた嘘で楊貴妃を本当に死なせるものだった。白竜は騙されて死んだ楊貴妃を深く愛していたため、楊貴妃が仮死状態で閉じ込められた石棺を開け、悲しみのあまり楊貴妃の遺体を滝底に沈め、楊貴妃と一緒に生き埋めにされた黒猫に白竜も死んで取り付く。怪猫の正体は白竜であり、その猫を観察してきたのはあの西瓜売り瓜王の丹龍であった。以上楊貴妃の死を悼み、黒猫に取り付いた白竜を解放した二人のうち、白楽天は長恨歌を書き終え、空海は青龍寺の和尚でもあった丹龍に青龍寺での修行を許される。